良いなと思う土地があっても、自分の理想の家が建てられるのかに注意が必要です。
土地には様々な制限があり、そこに引っかかってしまうと、3階建ての家が建てられない、軒がない家になった、そもそも家を建てられる土地ではなかった etcといった場合もあります。
自分の購入したい土地が、住宅に適しているかを調べておきましょう!
家を建てられるのは原則市街化区域であり、12種類の用途地域に分けられています。
用途地域はホームページでも調べることができます。Googleで「用途地域 〇〇市」などで検索すれば各市町村のホームページで見ることができるため、候補の土地があればぜひ見ておきましょう。
購入したい土地の住所以外にも、周辺の用途地域を見ておくことで、将来的にどんな建物が建つかなどが予測できます。
用途地域の種類
基本的に、一番上の第一種低層住居専用地域が一番規制が厳しく建てられる建物が限られています。
住居系~商業系まで下に行くに従って、上の地域にプラスして建てられる建物が増えていきます。
住居系
第一種低層住居専用地域
2階建て程度の低層住宅の良好な環境保護のための地域。診療所や保育所、小中学校、小規模な店舗または事務所兼用住宅も建築可。
第二種低層住居専用地域
低層住宅の良好な住居環境を保護する地域。診療所や保育所、小中学校、小規模な店舗または事務所兼用住宅の他に、コンビニなど150㎡以下の店舗も建てられる
第一種中高層住居専用地域
3階建て以上の中高層住宅の良好な環境を保護する地域。病院など500㎡以下の店舗も建てられる(業種の制限はあり)
第二種中高層住居専用地域
中高層住宅の良好な住環境を保護する地域。1500㎡以下の大型店舗や事務所が建てられる。病院や小規模スーパーなども建設できる。
第一種住居地域
住居の環境を保護する地域。3000㎡以下の店舗、事務所、ホテルなど建設できる。
第二種住居地域
住居の環境を保護する地域 10000㎡以下の店舗、事務所 カラオケ店 パチンコ店なども建築可能。また住環境を悪化させない小規模工場の建築も可能
準住居地域
道路の沿道を生かしつつ住環境を保護する地域。大規模な駐車場や業務用倉庫なども建てられる。
商業系
近隣商業地域
近隣住民への日用品を供給するための大規模店舗や事務所が建てられる地域
商業地域
商業利便の増進を図る地域。大規模な工場以外はほとんど建てられる。風俗施設も可。
工業系
準工業地域
工場と住宅が共存する地域。火災や公害など環境悪化の恐れがない工場ならばほぼ建てられる。
工業地域
工業利便の増進を図る地域。大規模工場以外は建てられる。病院やホテル、風俗店は建てられない。
工業専用地域
工業利便の増進を図る地域。住宅、住居兼店舗、病院 ホテル 麻雀パチンコ 風俗は建てられない。
用途地域ごとに建ぺい率や容積率の数値が変わってきます。
建ぺい率とは・・・
敷地面積に対する建築面積の割合。敷地に対して何%の面積の家が建てられるかを定めています。
建築面積(一階の面積)/敷地面積×100=建ぺい率
容積率とは・・・
敷地面積に対する延床面積の割合。容積率によって何階建ての家が建てられるか計算できます。
延床面積(1階と二階の床面積)/敷地面積×100=容積率
※前面道路幅によって数値が変わる可能性があります。
第一種低層住居専用地域
30.40.50.60 50.60.80.100.150.200
第二種低層住居専用地域
30.40.50.60 50.60.80.100.150.200
第一種中高層住居専用地域
30.40.50.60 100.150.200.300.400.500
第二種中高層住居専用地域
30.40.50.60 100.150.200.300.400.500
第一種住居地域
50.60.80 100.150.200.300.400.500
第二種住居地域
50.60.80 100.150.200.300.400.500
準住居地域
50.60.80 100.150.200.300.400.500
近隣商業地域
60.80 100.150.200.300.400.500
商業地域
80 200.300.400.500.600.700.800.900.1000.1100.1200.1300
準工業地域
50.60.80 100.150.200.300.400.500
工業地域
50.60 100.150.200.300.400
工業専用地域
30.40.50.60 100.150.200.300.400
用途地域ごとに建物の高さも制限されます
制限の種類は5つあり、条件が重複した場合、もっとも厳しい規制に従う必要があります。
絶対高さ制限
第一種及び第二種低層住居専用地域では建物の高さを10メートルまたは12メートル以下にしなければならない
日陰による中高層の建築物の高さ制限(日影規制)
住居系用途地域、近隣商業地域、準工業地域、無指定区域では近隣の建物の日照を確保するため、一定以上の高さや階層になる中高層建築物に高さ規制をつけている
隣地斜線制限
隣地境界線から垂直の高さに20メートル(商業系工業系用途地域は31メートル)の線を引き、そこから1.25倍(同2.5倍)の高さと1倍の奥行きの線を引いた内側に建物を収めなければならない
(第一種、第二種低層住居専用地域は対象外)
道路斜線制限
敷地に対する前面道路の反対側の境界線から隣地境界線までの長さを出し、隣地境界線から1.25倍(住居系用途地域の場合、その他は1.5倍)の高さの垂直線を引きます。この垂直線の内側に建物をおさえる必要があります。道路から一定の距離をとれば制限を受けません。
北側斜線制限
低層住居専用地域と中高層住居専用地域のみに適用
北側の隣地境界線から垂直に高さ5メートル(中高層は10メートル)の線を引き、そこから1.25倍の高さと1倍の奥行きの線を引いた内側に建物をおさめなければならない
注文住宅で家を建てる場合、影響を受けやすいのは高さ制限と北側斜線制限ですね。
高さ制限により、建物の高さが制限されること、また北側斜線制限によりお隣の家との関係から、敷地のどのあたりに建物を建てるかが決まります。
建物本体以外にも、軒の長さに影響が出ます。
我が家の失敗談
うちは軒の長い家にしたかったので、制限から計算してここまで建物の位置を決めてもらったのですが、最終打ち合わせの一歩手前あたりで、やっぱり無理でしたと言われました(泣)
この軒の長さだとこの位置には建てられない=動かすとなると間取りもちょっと変わってきてしまうため、軒の長い家は諦めました・・・。
最近は軒なしの家も人気があるようで、スタイリッシュな感じでかっこいいとも思うのですが、軒がたっぷりあると洗濯物濡れにくいし、壁を守ってくれるし・・・と憧れていたので残念ポイントでした。
土地と道路の関係
建築基準法によって、住宅用の敷地は、道幅四メートル以上の道路と2メートル以上接していなければ、建物は建てられません。これを接道義務といいます。
旗竿敷地(細い路地の奥に敷地が広がる敷地)は注意が必要です。路地の幅で2メートル以下の部分が少しでもあると建築不可になってしまうため注意しましょう。
また、住居全面にある道路の幅が12メートル未満の場合は、容積率に制限がかかります。
先程の用途地域ごとの容積率と比べてどちらか低い方の数値が適用されます。
3階建ての家を建てたいなど考えている場合チェックしておきましょう。
容積率=道路幅×0.4×100%